講座003 陰陽五行思想を考える

第2回 五行思想についての確認

 第二回の今回は五行思想について確認していきたいと思います。

 

 五行思想は中国最古の王朝「夏」の伝説的な皇帝である「禹」によって作られたといわれています。その内容は、全てのものが「木火土金水」という五つの要素から成り立っているという考え方です。

 

 現代人にとって、万物がたった五つの要素で出来ているという考え方は、にわかには受け入れがたいかもしれません。化学の周期表をご存知の方は、化学物質の元となる元素は人工的に作り出された物も入れると既に100以上もあるではないかと、反発したくなる気持ちも起きてくるのではないでしょうか。

 

 しかし、五行思想に出てくる五つの要素「木火土金水」は、化学における元素のようなものではありません。化学における元素は、元素同士の差異を細分化し続けた結果見出だされた関係性です。それに対し、五行思想は、全てのものを「木火土金水」という五つの要素の関係性の中で見ようという考え方なのです。

 

 つまり、五行思想に於いては全ての事象の中に木の役割、火の役割、土の役割、金の役割、水の役割を果たすものが存在しているということになります。そして、同じ事象であっても、それぞれが適切な関係性を保ちそしてそれぞれの役割を全うしているときとそうでない場合には違った状態で現れることになるというのが五行思想の考え方なのです。

 

 五つの要素同士の関係の仕方で特徴的なものに「相生」と「相剋」という概念があります。詳しくは第三回の講座で見ていきたいと思いますが、「相生」はそれぞれの要素が相補的に強め合う関係で、「相剋」はその逆にそれぞれの要素がお互いを弱めるような関係を言います。実は、本稿で度々使用してきた「木火土金水」という五つの要素の順序は「相生」になっているのですが、なぜだか解りますか?次回までの宿題とします。よく考えればきっと分かりますよ。

 

(了)

※ この講座「陰陽五行思想を考える」は全3回のシリーズで行います。第3回は、3月にアップロードの予定です。

※ この講座の受講証書は、全3回が終了した後に発行を受けることができます。