講座004 長寿

第3回 長寿の人物

最終回の今回は、長寿の人物を探っていきましょう。

前回の講座では、不老不死の生物について紹介しましたが、実は、不老不死なのではないかと言われる人物は、人間の世界にも存在するようです。その方はマハー・アヴァター・ババジと呼ばれる聖者で、ヒマラヤに隠棲していらっしゃるそうです。伝承によると、西暦203年11月30日生ということですので、今年の11月で1814歳を迎えられることになります。この方には面白いエピソードがあります。彼は、幼少の頃ジャックフルーツという木の実が好きだったので、母親に内緒で、お客さんのために準備されていた分まで食べてしまいました。結果的に母親に見つかってしまい、怒った母親が彼の口に布を詰め込み、危うく窒息死しかけたそうです。いくら不老不死の肉体を持っていても、息をしないとやはり死んでしまうのですね。彼の存在が事実か否かは確認するのがなかなか難しいですが、こうしたユーモラスな逸話が私たちの健康寿命の増進に貢献してくれることはほぼ間違いのないところではないでしょうか。

さて、では、誰も反駁できない明白な記録を持つ最長寿の人物は一体何歳でその天命を全うされたのでしょうか。答えは122歳と164日間だそうです。これはジャンヌ・カルマンさんというフランス生まれの女性の方で、なんと1875年から1997年の間を生き抜かれたとのことです。この期間に日本で起きた歴史上の出来事について考えてみると、1887年に西南戦争そして1995年には地下鉄サリン事件がありました。これら二つの出来事を並べてみれば、どれだけの世相の変化をカルマンさんが経験されたのかということが、おぼろげながらも推察できそうに思います。生きていくためには移ろいゆく環境との調和を図らなければなりませんが、それは自分が変わり続ける覚悟を持つということでもあります。事実、カルマンさんは85歳でフェンシングを始められたり、117歳の時には20代の頃から喫い続けたタバコを、介助する方に対する思いやりから、やめられたりしたそうです。頑固一徹ぶれない芯を持つということも、生きていく上で大切なことではありますが、それが変化することへの恐怖や自分自身の怠惰に対する言い訳に使われるような場面に遭遇することもままあります。しかし、それは変化に伴う喜び、すなわち成長することを放棄するということと同じなのではないでしょうか。何かができるようになっても、何かができなくなっても、そこからその事を通してしか得ることのできない何かを学んでいくことができるならば、いくつになっても成長していくことは可能なのではないかと、カルマンさんの偉大な生涯に触れて思う今日この頃です。

 

(了)

 

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