講座004 長寿

第2回 長寿の動物

今回の講座は、寿命の長い動物を紹介していきたいと思います。

さて、鶴は千年亀は万年という諺があります。このように縁起の良い長寿の生物というイメージで語られることの多い鶴と亀ですが、実際のところどうなのでしょうか。鶴の中には80年以上生きたものもおり、鳥のなかでは間違いなく長寿であるといえます。そして、亀には私たち人間よりも長生きするものがいて、アルダブラゾウガメという種類の亀には250年以上生きたのではないかと考えられるものもいるそうです。おそらく亀は陸上で生活する動物の中では最も長命な生き物の一つであるといえます。

海には、もっと寿命の長い動物が沢山います。たとえば、ニシオンデンザメという種類の鮫は400歳以上の個体が確認されていますし、寿司ネタでお馴染みのミル貝は500歳のものが発見されています。

しかし、それらの生物の寿命を圧倒的に凌駕するのがベニクラゲというクラゲの仲間です。なんと、ベニクラゲには寿命がありません。つまり、外敵に食べられたり、不慮の事故で生命を失わない限り、永遠に生き続けるのだそうです。

普通クラゲは成長して衰弱すると海水に溶けてその生に終止符を打つのですが、このベニクラゲは成長して衰弱したあとで、海中にある岩塊などに付着し、ポリプと呼ばれる状態に変化します。

実は、このポリプと呼ばれる状態は、ベニクラゲが成体に変化するための成長段階のひとつなのです。つまり、ベニクラゲはある段階まで成熟すると、今度は一転して若返ります。そして、ある段階まで若返るとまた成熟へと向かいます。こうした過程を繰り返すことでベニクラゲは歳月を超越した生命を手にしているのです。いつまでも若いのでも、ただ年老いていくだけでもない、老いと若さの揺らぎの中をたゆたい続けるバランス感覚さえあれば、不可能なことなどこの世に存在しないのだと、ベニクラゲは私たち人間に教えてくれているような気がします。

 

(了)

※ この講座「陰陽五行思想を考える」は全3回のシリーズで行います。第3回は、3月にアップロードの予定です。

※ この講座の受講証書は、全3回が終了した後に発行を受けることができます。