講座011 和太鼓の魅力

一般的に、和太鼓には残響がよく響いて、音に余韻が残るという特徴があります。もともと、太鼓は音を響かせることによる情報伝達の手段として、すでに縄文時代から利用されていたといわれています。たたいて大きな音を出すという方法はとてもシンプルであり、何かしら、音が耳を通して聞こえてくるというより、身体の奥底へ響きわたるような感じが大きな魅力であると感じます。

太鼓は、ものごとやその場面を引き立て、はやしたてて盛り上げる囃子太鼓、あるいはいくさなどで軍の統率をとるための陣太鼓、祭りなどの場にあっては神との意思のやりとりのための手段として等、様々な形で利用されてきましたが、芸能、芸術の観点からみると、雅楽、宗教音楽、歌舞伎における効果音として発展してきた歴史を見ることができます。


音の3要素とは、高さ、強さ、音色です。さらに、これらが時間の経過とともにどのように変化していくかを観察するとき、音楽の3要素としてのメロディー、ハーモニー、リズムという概念が出てきます。さて、そこで太鼓ですが、太鼓が他の楽器と比べて決定的に違うのは、一つの太鼓で複数の高さの音を出すことができないということです。

弦楽器であれば、弦を抑える位置で音の高さを変えることができます。管楽器は、管の中の空気の流れをコントロールすることで音の高さを変えることができます。打楽器であっても、木琴や鉄琴のように、たたく音板を変えることで音の高さを変えることができます。しかし、太鼓はそれらと違い、一つの楽器が一つの高さの音しか持っていません。

するとどうなるか。太鼓の演奏を音楽の3要素に照らして考えると、太鼓は音の高さの変化として考えられるメロディーを持ちえないということになります。しかし、一方で太鼓は強烈なリズムを持つ楽器であり、それが他にない太鼓演奏の魅力につながっているといえるでしょう。太鼓の鼓動(リズム)は、心臓の鼓動(リズム)に通じ、身体の奥深くに響き渡る感覚はそこから生まれるのだと思います。

多種類の太鼓を二人以上の打ち手で演奏する現在の「組太鼓の」形式は、昭和になって小口大八によって確立されたといわれています。これにより、他の楽器に対して脇役的な位置に甘んじていた太鼓が演奏の主役になることができたわけです。

美容や健康、ストレス解消にもよいとされますが、それぞれの仕方で太鼓に親しんでみられてはいかがでしょう。


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