講座010 折り紙

 一枚の紙から、様々な立体が生み出される。それが折り紙の魅力ですが、では、この折り紙の起源はどこにあるのか? というと、実はよくわかっていません。製紙技術の起源が中国にあることから、折り紙も中国で始まったのではないかという説がありますが、定かではありません。また、スペインが起源だという説もあります。ただ、史料に照らし合わせて考えてみると、日本の折り紙は、外国から伝わったものではなく日本独自のものとして発達してきたようです。

 生活の中で紙を折るというのは、もともとは、供物を包んだり、神事に用いたりする紙の造形の工夫から生まれてきたものでしたが、それが護符や香包みなど包みの文化となり、次第に紙が広く普及していくにしたがって、遊びの一つとしての折り紙の誕生につながってきたと考えられます。

 ちなみに、1797年(寛政9年)に出版された『秘傳千羽鶴折形』という本には、実に49種類の折鶴が紹介されていて、これが現存する世界最古の折り紙の文献とされています。また、この本は、明らかに大人向けに書かれており、当時から子供だけでなく大人にも折り紙を楽しむ人がいたことが分かります。

 指先を動かし、脳に刺激を与えることができることから、幼児教育やリハビリの場面などにも、折り紙は取り入れられていますが、なんと、折り紙を折る技術というのは宇宙開発にも利用されています。それは人工衛星の太陽電池パネルを折り畳むために用いられているのですが、できるだけ小さく折りたたんで、大きく広げる技術が研究されています。その様子を動画で紹介しておきます(英語の動画なのでわかりづらいかもしれませんが、小さくたたまれたものが大きく広がっていく様子を楽しんでください)。


 最後に、「おりがみの日」について紹介しておきます。

「おりがみの日」は、11月11日です。これは数字の1が4つ並ぶ11月11日の、数字の"1"を正方形の一辺と見立て、1が4つで正方形のおりがみの4辺を表すと考えて、1980年に、この日を「おりがみの日」に制定しました。また、この日は世界平和記念日(1918年第一次世界大戦休戦条約が調印された日)にもあたり、折り紙の平和を願う心と相通じるものがあることも制定した理由のひとつなのだそうです。この日に折鶴を折ってみるというのもいいかもしれませんね。

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