講座006 コミュニティづくり

コミュニティという言葉をよく聞きますよね。これは、地域住民が生活している場所、つまり、消費、生産,労働、教育、衛生・医療、遊び、スポーツ、芸能、祭りに関わり合いながら、住民相互の交流が行われている地域社会、あるいはそのような住民の集団を指して言います。具体的な例でいうと、市町村などの地方自治体などがわかりやすいですが、地域を越えて連携した非営利組織などの集団、最近では、インターネット上で連絡を取り合う集団などもコミュニティと呼ばれています。

ここでは、地域社会の現地住民が集団の構成要素であるコミュニティ、つまり地縁によるコミュニティを、特に地域コミュニティと呼ぶことにして、その他のコミュニティと区別して考えることにします。

さて、右上のグラフは地域の人々との付き合いについての調査です。日本の共同体は、遊牧民の持つ文化とは異なり、村落に居住する住民を構成員とする集団であることから、伝統的、歴史的な地域コミュニティと言われますが、それが衰退しつつある様子が読み取れます。

地域コミュニティにおいては、一般的に、地域内に居住する住民同士で情報が共有され、住民相互の信頼関係が築かれています。そうした信頼関係は、協力関係を生む一方で、競争や対立も内包していることもあります。しかし、そんな競争や対立も構成員の個別利益や共同利益を過度に侵害することはほとんどありません。コミュニティの居心地の良さというのは、こういうところにあります。逆に言うと、こういう居心地の良いコミュニティづくりが大切、ということでもあります。

結局、地域コミュニティづくりとは、豊かな人間関係づくりということになると思います。そしてそれは、当たり前のことですが、腹の立つこともあるけど、面白いこともある、という人間関係の多様さを受け入れる風土がないと成立しないものなのです。

しかし、様々な社会状況の変化により、こうしたことが難しくなってきています。たとえば、忙しくて地域との関わりを持ちにくいとか、年をとって家から出る機会が減ったとか。そんな理由で地域社会における人間関係づくりが、何か特別な努力をしなければならない類のものへと変貌しつつある現実があります。

地域における人間関係が、希薄なものになってしまっては、人間関係の多様さを受け入れる風土づくりと言っても現実的には困雑と言わざるをえません。少子高齢化にともない、このような傾向はさらに進んでいくと考えられます。地域コミュニティのあり様というのは、転換点を迎えていると言えるかもしれません。

こうした現在の状況下で何が重要なのでしょう。それは、ひとりひとりが地域に根差す意識を持つということではないでしょうか。田んぼや畑や山や川や空。そして、何よりもそこで共に暮らす人を大切に思う気持。一緒に笑って楽しい時間を過ごし、時にはけんかもして、仲直りをする。そんな人間関係の絡み合いの積み重ねによってしか地域コミュニティは成立しないと思います。そして、これは決して行政主導でできることではないのです。

最も身近でリアルな空間が最も居心地のよい空間であること。豊かな人生を送るために、これはとても重要なことだと思います。お隣さんを気に掛ける。地域の行事に参加する。居心地の良い空間づくりへの最初のアプローチはそのあたりからではないでしょうか。

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