講座004  災害に備える

 集中豪雨は発達した積乱雲がもたらします。地面付近の暖かい空気が上昇すると、上空の冷たい空気とぶつかり、大気の状態が不安定になります。この不安定を解消しようとして上下の空気が混じり合う対流が発生します。
 この時の空気が湿ったものであれば、上空に行くに従って下がる気温の中で、空気に含まれる湿気・水分が凝結して雲になります。この雲が積乱雲となります。積乱雲は垂直方向に発達するため、局地的な狭い範囲に激しい雨を降らします。雨の時間は短くても、1時間に100ミリを超すの猛烈な雨を降らすこともあります。こうして集中豪雨となるわけですが、その中でも降雨の範囲が非常に狭く、また降雨時間が短いにもかかわらず単位時間あたりの降雨量が非常に多いもの、つまり、非常に狭い地域の中で短い時間で驚異的な大量の雨が降る局地的豪雨のことを、ゲリラ豪雨と呼んでいます。
 これは、地球温暖化により日本の気候が亜熱帯化して来ていることで、雨の降り方も変化していることが主な原因と言われています。都市型のゲリラ豪雨は、ヒートアイランド現象も絡んできます。
 さて、1時間に100ミリの雨量といった場合、=10センチな訳ですから、数字だけ聞くとたいしたことがないような気もします。10㎝といったらくるぶしが浸かるぐらいですから。

 しかしこう考えてみてください。

 畳10畳のスペースに10㎝水が溜まっています。これを1畳に集めると1メートルです。これがもし20畳分のスペースだったならば、1畳に集めると2m。背丈以上の水に浸かってしまうことになります。上にあがれるスペースがなければ・・・。
 こういう状態になりかねないのが、ゲリラ豪雨に遭遇するということなのです。

 台風などによる大雨、洪水、暴風、高潮が引き起こす様々な被害を防ぐために、国や都道府県では、土砂災害防止のための砂防設備、崖崩れ防止のための防護壁、川の氾濫を防止するための治水工事、高潮を防ぐための防潮堤の整備など、様々な防災対策を行っています。しかし、こうしたハード施設での対策を行っていても、自然の力が勝れば、災害は発生します。

 災害から身を守るためには、国や都道府県が行う対策などの「公助」だけでなく、私たち一人一人の「自助」、すなわち、災害に対する備えをしておく、危険を感じたら早めに避難するなど、自らの身を守るための防災行動を起こすことが重要です。
 そのような「自助」のために役立つのが、気象庁が発表している「防災気象情報」です。皆さんが早めの防災行動をとれるよう、気象庁は大雨や台風などに関する防災気象情報を随時提供しています。

 災害が発生するおそれのあるときには「注意報」、重大な災害が起こるおそれのあるときは「警報」、さらに、重大な災害が起こるおそれが著しく大きいときは「特別警報」を発表し、注意や警戒を呼びかけます。

 これらは原則として、市区町村ごとに発表され、市区町村は、警報などを受けて、ハザードマップなどに基づく危険な区域の住民に対して、避難準備情報、避難勧告、避難指示の発令を検討します。

 下の図を参考に、いざというときに適切な行動がとれるよう、準備をしておきましょう。

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