講座002  ブッポウソウについて

ブッポウソウは、ツバメなどと同じ夏鳥として日本に飛来してきます。本州、四国、九州で繁殖し、冬は東南アジアに渡って過ごします。全長は約30cm。体重は、約150gグラム。翼を広げると60cmくらいのおおきさです。全身緑色でくちばし、足は赤色、飛ぶと翼に青白色の斑が出ます。「森の宝石」と呼ばれ、美しい鳥と言われる一方で、派手だけれども、色に調和性が無く、美しいとは言えないという人もいます。ちなみに、美しい鳥と言われ「渓流の宝石」といわれるカワセミとブッポウソウは、ともにブッポウソウ目に分類されます。

 

さて、ブッポウソウの名前の由来。実はこれ、勘違いでつけられた名前なのです。というのも、昔から、とくによく人間に見つかりやすく観察された場所が社寺林など大木のある森の中。そうした場所は仏教の霊的な力に満ちた場所とされるわけですが、ブッポウソウは、そこの大木にできる樹洞にを巣をつくり繁殖します。その森の中で夜になると「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴く声が聞かれるのです。仏教の三宝は仏・法・僧ですが、それがそのままの鳴き声であり、平安時代以来ブッポウソウ(仏法僧)と鳴く霊鳥と思われてきました。ところが、実際のブッポウソウの鳴き声はまるでカエルの親玉のような「ゲッゲッゲッ」というような鳴き声。姿のブッポウソウと、声のブッポウソウは一致していなかったのです。しかし、昭和初期になって、ようやく声の持ち主はフクロウの仲間のコノハズクであることがわかりました。(ページの終わりに二つの鳥の鳴き声を掲載しておきました。)

 

ブッポウソウの世界分布をみると日本が最も北に位置しています。そのため、生息数はもともと少ないうえ、最近の森林の荒廃、 餌となる比較的大型の昆虫が多く生息する広葉樹林の減少、繁殖可能な比較的大きい樹洞のある木やキツツキ類のあけた穴のある木製電柱がコンクリート製や鋼管製の柱に換わる事などで、近年急激に減少しています。 そのため、絶滅のおそれのある野生動植物のひとつとして、環境省の指定するレッドリストで、絶滅危惧種に指定されている貴重な鳥です。一口に絶滅危惧種といってもいろいろなランクがあるわけですが、一般に絶滅危惧種の鳥としてよく知られている、アホウドリやタンチョウよりもブッポウソウのほうがランクが高い。つまり、より絶滅の危機に瀕している鳥なのです。

 

先ほども少し触れましたが、ブッポウソウは比較的大型の昆虫を食べます。トンボとか、セミとか、カゲロウなど。これを飛びながら空中で捕まえて食べます。そのため、高い木の枝や電線などにとまり、昆虫類を探していると思われる様子を観察することができます。その場合、ヒタキ類のように同じ場所から飛び立ち、捕食に成功しても失敗しても、ほぼ元の位置に帰るという行動を繰り返すことが多いようです。

 

だいたい4月下旬頃日本に渡来し、5月下旬から6月上旬頃に4~6個の卵を産みます。ヒナは7月中旬から8月上旬頃に巣立っていきます。繁殖終了後、いつ頃まで日本に留まっているかはよくわかっていませんが、おそらく9月中まではいるものと思われます。

ブッポウソウの鳴き声

コノハズクの鳴き声


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